ArchiCADでカレ邸を作ろう企画、14回目です。
今回は、カレ邸のエントランス側外観の主要な特徴的要素である、ハイサイドライト(高窓)とルーバー回りを作成します。
このハイサイドライトから、内部ギャラリーの曲面天井のラインが透けて見え、外部からも内部の構造が感じられるようになっています。
このつくりによって、全体の片流れ屋根と内部の曲面天井が一体化され、全体としては複雑なこの家をひとつにまとめる働きをしているのですね。
まずは作業前の状態。
中央の庇の上の窪んだ部分の外壁に、ハイサイドライトが付きます。
窓そのものは嵌め殺し窓(Fix窓)で作成しましょう。
ひとまず以下のような設定で入力します。サイズなどはモデルに配置した後から、立面ビューなどで調整します。
ひとまず配置してみたところ。
上の設定画面ではフロア1に配置となっていましたが、実際にはフロア2への配置としています。
立面ビューで下図を参照表示しながら、窓の縦横のサイズを調整します。
下図がCAD図面ではないので、それなりの調整にはなりますが。
下の画像は、中央の一番高い窓のHサイズを調整し終え、W方向サイズを調整しているところです。
1つ目の窓の位置、サイズ調整が終わったところで、3D断面を切ってみたところです。
窓枠の見込みは70、抱き見込みは100としています。
下の図では膳板が表示されていますが、写真を見ると実際にはここは膳板ではなく、内壁同材で斜めに左官仕上げのようになっています。この膳板は後程OFFにします。
上と同じ工程で、他に4つのハイサイドライトを入力しました。
それぞれ縦枠の部分は微妙に重ねて、外壁の抱きが表示されないようにしています。
次に、内部エントランスホール側の、曲面天井との取り合いを入力していきます。
先ほど書いた、窓下端部分の納まりは、下の写真である程度見えますね。
この窓下、天井部分、それから下の写真に見えています天井の有機的ラインによる欠き込み形状などを作成します。
だいぶ前にこの部分はソリッド編集で、と書きましたが、いよいよそのときが来ました。
ではまず、ソリッド編集を行うためのオペレーター(切り取り用の編集オブジェクト)を作成します。
ソリッド編集というのは、立体同士を加算したり減算したりといった操作を行う機能です。
3DCGモデリングの経験がある方は、ブーリアン演算と言ったほうが理解しやすいかも知れません。
ひとまず下の図のように、エントランス側からクロークのほうに向かって、壁面に沿う形で形状を入力していきます。後からモルフに変換するので、使用するツールは何でもいいのですが、ひとまずスラブを使います。
それぞれ両端部の向かって上の角にはアールが付いています。
平面ビューでスラブの形状を描画し終えたら、3Dビューで上方に伸ばしてゆきます。
見やすいようにエントランスホールを切断する3D断面ビューで作業中です。
スラブツールを使っているので、スラブ厚さを厚くしている、ということですね。曲面天井の最高点より上まで伸ばします。
オペレーター用のスラブを伸ばし終えたところで、曲面天井とオペレーターだけを3D表示したところです。ArchiCADでは任意のオブジェクトを選んだ状態でF5を押すと、選択した物だけを3Dビューで見ることができます。
ちゃんと意図した通りに要素同士がかみ合っていることを確認したら、ソリッド編集を行います。
ソリッド編集では、曲面天井をターゲット、オペレーターのスラブをオペレーター、編集方法は「減算」を指定します。
曲面天井から、スラブが重なっている範囲だけをくり抜く、という操作です。
ソリッド編集を終えたところです。綺麗にくり抜かれていますね。
実際には、垂直のソリッド編集だけでは端部で曲面天井の厚み分が断面として見えてしまいました。なのでこの部分については解説は割愛しましたが別途、水平のオペレーターも追加しています。
また、オペレーターがスラブのままでは、不要な壁を切り抜いてしまうなどの不都合がありますので、これもモルフに変換しました。
それから特に解説しませんでしたが、今回の作業のついでに曲面天井のテクスチャーも変更しています。
短冊状の木材を密集して並べた、アアルトの特徴的な素材の使い方です。
さらに、曲面天井とハイサイドライトが取り合う部分の階段状の天井も作成しました。
下の画像では見えていませんが、窓下端の斜め形状と、階段状の天井と曲面天井をつなぐ垂直の壁も追加しています。
さらにハイサイドライト外部面の竪ルーバーも入力しました。
これは単純に細い柱を並べて、傾斜屋根に合わせて長さを調節しただけです。ルーバーのサイズは25×100としています。
下の画像では、先ほど書きました天井と曲面天井の隙間を納める垂直の壁(下がり壁)も見えていますね。
この壁も、曲面天井をオペレーターとしてソリッド編集しています。
上の作業をすべて終えて、ハイサイド回りを室内側から見たところをレンダリングしてみました。
入り口回りがまだいかにも作業中ですが、ハイサイドライト廻りそのものは結構いい感じですね。
実際にはここはほぼ北面ですので、このように直射日光が差すことは無いと思います。
本日はここまで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。